お仕事インタビュー!

現役ケアマネージャーに聞く、 介護福祉士とケアマネージャーとの違いとは?

ケアマネージャー

介護現場により近いのが介護福祉士、介護のマネジメントをするのがケアマネジャー

介護業界でよく耳にする「介護福祉士」と「ケアマネージャー」という言葉。 どちらも介護の仕事に必要な資格なのですが、資格取得の難易度や従事する仕事に違いはあるのでしょうか? そこで今回は、現役のケアマネージャーさんにお聞きした、介護福祉士とケアマネージャーとの違いについて、インタビューをお送り致します!

介護福祉士とケアマネージャーはどちらを先に取得するんですか?

初めに取得するのは介護福祉士です。介護福祉士は、介護職員実務者研修修了者で、3年以上の実務経験があれば受験することができます。合格率はその年によって多少違いますが、75~80%くらいですので、割と取得しやすいと思います。

では、ケアマネージャーの資格取得の条件を教えて下さい。

2018年から受験資格が変更されます。保健・医療・福祉に関する国家資格保有者としての実務経験が5年以上かつ従事日数が900日以上あれば受験することができます。資質と深い経験が求められるだけでなく、高齢者の身体と心についての知識や、介護保険に関わる法律や制度に関する知識も問われるため、比較的難易度の高い資格になっています。

介護福祉士と比べると、合格率にかなり差がありますね。

そうですね。直近のケアマネージャーの合格率は17.7%でした。介護福祉士が69.9%だったので、かなり難しい試験だと思います。

なぜケアマネ試験の合格率が低いのでしょうか?

ケアマネージャーとシニア合格率の低い理由としては、①ケアマネージャーの質を高めるため 難易度の高い試験にすることで、ケアマネの資質に優れた者だけに資格を与え、ケアマネジャーのサービス品質の改善を目指すため ②介護職の人材不足とのバランスをとるため 現場の介護職員とケアマネの人員のバランスをとるために、あえて低く合格率を設定しているため この2つの理由が考えられます。でもこれらは憶測なので、はっきりとした理由は分かりません。ただ、合格率が他の職種に比べて低いことは事実ですね。

介護福祉士とケアマネージャーの仕事の違いについて教えてください。

ケアマネージャーの仕事は、所属しているところによってそれぞれなんですが、例えば、介護のプランを立てる場合は、施設のプランを作る人、在宅のプランを作る人と大きく分けて2つあります。

施設のプランや在宅のプランですか?

私は、居宅介護支援事業所に所属していて在宅のプランを作っています。居宅介護支援事業所は、自宅に介護に来てもらったり、自宅からデイサービスを利用したりする人に向けたプランを作っています。そのプランがないと、介護保険を利用することができません。

プランは以前から資格所有者が立てていたのですか?

介護保険制度が始まる前までは、家族がそれぞれに介護の方法を考えていました。これが結構大変で。なぜなら役所に行っても、1つの窓口では終わらず、いくつもの窓口で手続きをしなければいけない。あるいは役所だけでなく、福祉事務所へも行かなければならなかったり。家族は介護だけでも疲れるのに、そういった煩雑な手続きでヘトヘトになるという問題がありました。そこで、介護保険制度が作られ、ケアマネージャーや介護福祉士などの介護の専門職を増やしてきたんです。

なるほど、大変な時代があったのですね。

そうなんです。ケアマネージャーは、施設や在宅用のざっくりとした方針を立てます。介護福祉士は、そこからさらに、介護現場や利用者様一人ひとりに応じた細かいプランを立てて、実際の介護業務もします。

介護福祉士とホームヘルパーとの違いはありますか?

どちらも現場で利用者様の介助などを行うことに違いはありませんが、介護福祉士の資格を持っていると、さっき言った介護プランを立てるなど、ヘルパーよりも責任のある仕事をできるようになります。

介護福祉士のニーズは高いのですか?

介護業界全体を見ても離職率が高いので、ホームヘルパー2級(現在は初任者研修を受講)だけよりも、介護福祉士を取っておいたほうが仕事の幅が広がることは確かです。実際、ヘルパーステーション※1などでは介護福祉士がいなくて、費用は出すから早く取ってね。と言われて取得する人もいます

※1 ヘルパーステーション
派遣ホームヘルパーのサービスステーションです。在宅で生活している方で介護が必要な高齢者または家事援助が必要な方の家庭に対して、可能な限りその有する能力に応じたホームヘルパーを派遣し要介護者の心身の特性を踏まえて、身体に必要な介護と、調理、洗濯、買物等の家事援助、その他の日常生活全般にわたる援助のサービスを提供する機関のことです。

出典元:介護110番

まとめ

介護福祉士とケアマネージャーとの違いについて、もう一度見ておきましょう。

  • 介護福祉士は実務経験3年以上、ケアマネージャーは5年以上が必要である。
  • 介護現場に即した細かいプランを立てるは介護福祉士、ざっくりしたプランと・介護福祉士の立てたプランのチェックをするのがケアマネージャー。
  • 介護現場で働く場合でも介護福祉士を取得しておくと仕事の幅が広がる。

保育士不足と同様で、常に人手不足が叫ばれている介護業界。介護業界の中で何が自分に向いているのか分からない人や、より深く介護業界に携わっていきたい人は、介護福祉士の資格も取得しておくと、仕事の幅が広がりますね。

※この取材内容は、全ての介護職、および介護業界の実情にあてはまるとは限りません。

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