換気扇のお掃除はNG!? 現役のヘルパーステーション管理者に聞く、訪問介護(ヘルパー)の仕事でやってはいけないことや難しいところとは?
訪問介護(以下、ヘルパー)は、利用者様と親密に信頼関係を築けるところが魅力の仕事です。しかし、ヘルパーと利用者様が、気が合って親しくなればなるほど、依存関係に陥り易くなり、時にはトラブルになるケースもあるようです。
では、ヘルパーの仕事でやってはいけないことや難しい点とは、どのようなところなのでしょうか??
今回は、現役のヘルパーステーション管理者に聞く、ヘルパーの仕事でやってはいけないことや難しいところとは?について、インタビューをお送り致します!
ヘルパーの仕事をする上で難しい点は何でしょうか?
ヘルパーと利用者様との信頼関係が出来、ヘルパーが利用者様に対して情が湧いてくると、いろいろとやってあげたいと思うんですよ。その気持ちはとても大切なのですが、お互いに依存し過ぎると、後でトラブルに繋がる場合があります。
例えば、どういうケースがありますか?具体的に教えてください。
例えば、ヘルパーが利用者様に頼まれてご自宅の換気扇の掃除をしたとします。ヘルパーは家政婦ではないので、換気扇の掃除はしてはいけないことになっています。でも、そのヘルパーは利用者様に頼まれ、ご本人も困っているという理由で本当はやってはいけない換気扇の掃除をしました。その後、そのヘルパーが交代になり、次に来たヘルパーが、利用者様に頼まれた換気扇の掃除をしなかったら、利用者様は「前に来てくれていたヘルパーは換気扇の掃除をしてくれたのに…。」というような不満が出て、トラブルになる可能性があります。前にいたヘルパーのやってあげたいという思いはもちろん悪くはないですが、仕事の範囲を越えてしまった訳です。私は管理者として、ヘルパーが仕事の範囲を越えているのが分かったら、スパッと担当ヘルパーを交代させています。
なぜ換気扇の掃除をヘルパーがしてはダメなのですか?
換気扇は家族全員が使うものだからです。それに、換気扇の掃除ってそんなに頻繁にしないですよね。せいぜい、年に1~2回でしょう?つまり、利用者様のみが使用されるスペースで、利用者様ご自身が出来なくて、さらに毎日の清潔を保つために必要な掃除に関しては、ヘルパーがして構わないんですよ。
換気扇の掃除の他に、してはいけないことは何がありますか?
ヘルパーは、利用者様とご家族様が共同で使用する場所の掃除をしてはいけません。利用者様個人のお部屋は良いけれど、居間などの共同スペースや廊下、トイレもお風呂の掃除もしてはダメなんです。もし、同居されているご家族様がどうしても掃除が出来ない場合、出来ない理由を明確に記載した報告書が必要になります。例えば、同居しているご家族様に障害があるとかですね。もしも、同居しているご家族様が仕事などで日中出ている場合には、帰宅してからお風呂も入るだろうし、その後で掃除が出来るんじゃない?ということになるんですよ。
結構基準が厳しいんですね。利用者様が、お一人で住んでいらっしゃる場合はどうなりますか?
その場合でも基準は同じです。利用者様が移動しながら使用している場所の掃除はヘルパーが出来ますが、例えば、物置などの掃除は出来ません。窓拭きも利用者様のお部屋以外はNGです。網戸も玄関先の掃除も出来ません。
その辺りの明確な基準は事業所ごとに異なりますか?
いいえ、これは国が設けた基準なので全国各地どこの事業所でも同じです。
もし、ヘルパーが出来ない場所の掃除が必要で、ご家族様が出来ない場合は、どのようになりますか?
うちの事業所では、「保険外サービス」というものを取り入れて、利用者様が必要とされるときに利用してもらっています。保険外サービスでは、1時間単位の利用料金になっています。その時間内に例えば窓拭きや草抜きなど、利用者様がしてもらいたいことをヘルパーに頼んでしてもらうことができます。
まとめ
ヘルパーの仕事には明確な基準で、しても良い仕事、いけない仕事があるんですね。もう一度、おさらいしておきましょう。
- 掃除については、利用者様個人が使用するスペースの掃除が基本。
- 廊下、居間など家族との共同スペースの掃除をヘルパーがしてはいけない。
- 換気扇や物置なども、頻繁に掃除をする場所ではなく、また家族全員で使用するものなのでヘルパーの仕事ではない。
- 同居のご家族様が掃除をすることが出来ない場合には、明確な理由の報告書が必要。
訪問介護では、ヘルパーが介護保険の範囲でできる仕事の線引きが難しいところは確かにありますね。しかし、自分のペースで働くことができ、利用者様と強い信頼関係が築ける訪問介護の仕事にやりがいを感じる人も多いと思います。訪問介護の仕事に興味のある方は、一度、「岡山介護求人センター」の担当者までお問合せください。
※この取材内容は、全ての介護職、および介護業界の実情にあてはまるとは限りません。